糖尿病治療における日本社会の大きな問題点

糖尿病治療

糖尿病の治療方法は大きく分けて3つあり、食事療法、運動療法、薬物療法の3つです。

そして、糖尿病の治療イコール、とにかく血糖値を下げる事ですね。

糖尿病の早期発見をし、食事療法、運動療法、薬物療法などを適切なタイミングで行っていけば、ちゃんと血糖値も正常値の範囲内にコントロー ルできて、健康な人と同じような不自由のない生活が送れますから、合併症さえ起こらなければ糖尿病はそこまで心配するほど怖い病気ではありません。

ですが、初期症状がない事が逆に糖尿病の早期発見を困難にしていて、発見が遅れたばかりに症状がかなり進行してしまっている人もたくさんいますし、糖尿病予備軍まで含めると糖尿病患者は年々増える一方だと言われています。

血糖値が正常値よりも高い時点で、もう既に糖尿病予備軍だと考えて下さい。

日本人の中でも血糖値の高い糖尿病予備軍の患者の割合がどんどん増えていく一方で、糖尿病治療を行っていく中で決して見過ごせない、日本社会が抱える大きな問題点があるのです。

この問題があるからこそ、日本で糖尿病患者(予備軍も含めて)が増えているという背景もあると考えられています。

 

糖尿病治療の専門医が圧倒的に不足している

2016年現在、糖尿病にかかっている疑いのある人数は少なく見積もっても2370万人以上はいると言われています。この糖尿病患者の人数は、年々右肩上がりで増えていく一方です。

その反面、日本医学会における糖尿病専門医の数はおよそ4500人だと言われています。

2370万人の糖尿病患者をたった4500人の医師が治療にあたるという事になりますから、糖尿病の専門医1人あたり5266人の患者の治療にあたるという計算になりますね。

これはどういう事かと言いますと、明らかに1人の専門医が治療にあたれる物理的な人数を超過していますから、専門医の治療を受けられない糖尿病患者が溢れているという事になるのです。

つまり、明らかに糖尿病の専門医が日本では不足しているのです。

糖尿病の治療は患者に食事療法、運動療法、薬物療法の3つを総合的にアドバイスしなければいけませんが、そのそれぞれに関して専門的な知識を持ち、正しいタイミングで正しいアドバイスができる医師が足りないのです。

では糖尿病の専門医の治療を受けられない溢れ出た患者はどういう治療を行うのかというと、糖尿病の専門医ではない町の内科、クリニックの先生方が診断や治療にあたっているのです。

もちろん医師である以上誰しも国家試験をクリアしていますから、糖尿病に関する最低限の知識は備えている筈でしょうけど、医師は1人1人自分の専門分野を持っていますから、糖尿病の専門医とそうでない専門医を比較した場合、どうしても治療に関する知識量と経験の差では圧倒的な違いが出てしまうのです。

糖尿病の専門医は糖尿病を専門に診る病院であらゆる糖尿病薬やインスリンの使い方などを、体で覚えるまで徹底的に叩き込みますし、患者さんを毎日診るだけではなく、引き続き研究活動も継続しなければなりませんから、糖尿病専門医としての資格を貰えるまでに、最短でも7年を要するのです。

 

最先端の薬物治療が受けられない糖尿病患者

運動不足やストレスなどから生活習慣病にかかる人が増えている背景もあり、日本人の糖尿病患者数は右肩上がりで増えています。

糖尿病の人口が増えているという事は、それだけ製薬会社も糖尿病の薬の開発には予算を投じて新薬を開発しようとしますから、新薬がどんどん開発されています。

様々な製薬会社が日々新しい薬を開発しているわけですから、その中には当然糖尿病の治療により効果的な薬も出てくるでしょうし、例え同じ目的の薬であっても販売している製薬会社によっては微妙に効果効能が異なってくるでしょう。

より患者目線に立ち、少しでも糖尿病の症状を和らげるための治療を行うためには、これらの最新の治療方法に対する知識を常に仕入れなければなりませんが、糖尿病の専門医でもない限り、常に最新の情報を収集し続ける事はかなり難しい事なのです。

また、糖尿病が恐ろしい病気だと言われているのは糖尿病には合併症というものがあり、放置しておくと最悪の場合「死」に至る可能性も含んでいます。

糖尿病の合併症の治療や予防のためには適切な治療薬を適切なタイミングで処方していかないといけないのですが、合併症の治療薬の選定や治療方針を定めていく際には当然専門的な高度な知識が必要になりますから、どういう治療法でどういう投薬をしていくかは糖尿病の専門医でないとなかなか分からないものなのです。

糖尿病の専門医でない先生が、このような本来であれば糖尿病専門医の診断や治療を必要とする患者さんを診ている場合は、患者さんの症状の進行度合いをいち早く見極めて、専門医に紹介しなければなりません。

しかし、糖尿病の治療に当たる中で、ヘモグロビンA1cの値すら見ないような知識不足の医師も中には存在し、専門医への紹介すらも遅れてしまっている糖尿病患者が多いというのが日本医療社会の現状なのです。

 

適切な食事療法が受けられない糖尿病患者

糖尿病の治療で最も重要だと言っても過言ではない治療は「食事療法」なのですが、この糖尿病の食事療法に関しても日本社会は大きな問題を抱えています。

「糖質の摂取を控えて下さい」「お菓子などの間食、飲酒はしないようにして下さい」「食物繊維を食事の初めに食べるようにして下さい」等と、およそどこの医療機関に行っても言われはするものの、その後に患者さん1人1人に適切な食事療法をきちんと施している施設はあまりにも少ないのです。

基本的には、患者さんそれぞれの自己管理に任せっきりになってしまっているのです。

本来ならば医療機関側が患者さん1人1人の生活環境や症状の進行具合を見ながら適切な食事療法のアドバイスを行わなければならないのですが、糖尿病専門医が不足してしまっているばかりに、具体的なアドバイスをする事ができないのです。

糖尿病専門医に診てもらっている患者さんと言えども、専門医の需要過多の状況の中、医師が糖尿病患者さん1人に割ける時間も限られていますから、なかなか日々の生活の中まで入っていってアドバイスを行う時間が確保できないわけです。

また、食事療法のプロでもあります、「管理栄養士」の数も足りていないのです。

医師は医療の専門家ではありますが、食事療法の専門家ではありませんので、やはり栄養管理士などと協力して糖尿病治療に当たる事が本来であれば理想的なのですが、残念ながら一般の医院に管理栄養士が在籍している事なんてほぼありません。

糖尿病治療において患者さんの食生活がなかなか変わらないのは、もちろん患者さん本人の意識も問題もあるかもしれませんが、それ以上に、「日々の生活の中でどういうメニューであれば無理をせずに食事療法を継続できるのか」という根本的な指導がなされていないという事が大きな問題なのです。

適切な治療ができる糖尿病専門医が不足している上に、食事療法の指導ができる管理栄養士の数も足りていないという現状が、多くの日本人が糖尿病治療でなかなか思ったような成果を得られない原因なのです。

1型は体内でインスリンが全く分泌されないので、インスリンの注射以外に治療法はありません。

 

糖尿病は一生治らないという間違った認識

「糖尿病は一生治らない病気」、こんな風に聞いた事はないでしょうか?

正しく理解されないままに世間で誤解されてしまっている事があって、糖尿病は一度かかったら死ぬまで治らない病気だと勘違いされている事があります。

しかし、これには正しい認識が必要です。

糖尿病には大きく分けて3種類有り、インスリン依存型の1型糖尿病と、そうでは無い生活習慣病などが原因でなるインスリン非依存型の2型糖尿病、そして他の病気などが原因で二次的に引きおこるその他の糖尿病とに分類されます。

日本人の糖尿病患者の95%以上を占めるのがインスリン非依存型2型糖尿病の方で、一般的に「糖尿病」と世間で呼ばれる場合は、この2型糖尿病の事をさします。

インスリン依存型の1型糖尿病は、ある種のウイルス感染が引き金になって、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊されてしまう病気で、インスリンの絶対量が不足してしまい、糖尿病になるのです。

確かにインスリン依存型の1型糖尿病は、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊されてしまっているのですから、インスリン注射によってインスリンを体の外から補給してあげないといけなくなりますから、糖尿病は一生治らないという表現は適切かもしれません。

糖尿病に至る原因はさまざまですが、結果としてインスリンを分泌するすい臓のβ(ベータ)細胞が死んでいくわけです。もちろん、細胞の再生や新生によってバランスをとる機能は備わっていますが、糖尿病患者の場合はその機能が失われるスピードの方が速く、何の対策も打たなければインスリンを分泌できなくなります。

現時点では、破壊されてしまった膵臓のベータ細胞は蘇らないため、一生治らないということになります。

ただし、糖尿病でもまだ初期の段階で症状もほとんど出ていないような段階では、膵臓の機能がまだ残存していますし、適切な食事療法や運動療法、薬物療法によって血糖値をうまくコントロールし、健康な人と同じ生活レベルに戻す事は十分に可能です。

また、膵臓の機能の何割かが死んでしまって十分でない場合でも、現在では様々な効果を発揮するインスリン製剤もあるため、昔に比べれば血糖値のコントロールは比較的しやすくなっています。

最近では、膵臓のβ細胞の再生を手助けする効果が期待できる治療薬も開発されていたりβ細胞再生治療の研究も進んできているので、こうした最先端の治療が実用化されれば、糖尿病は確実に「治る」病気として扱われる時代もそう遠くはないでしょう。

ただし、糖尿病の合併症が起きると非常に厄介なので、ここまで症状が悪化しないようにその手前で最前の処置。治療をいち早くできるようになりましょう。

そのためにはヘモグロビンA1cなどの血糖値の値を常に意識する必要があるのです。

仮に膵臓のβ細胞を再生できて糖尿病が完治できる時代が来ても、糖尿病の合併症を起こして目や腎臓や足が既に駄目になっていては台無しなので、身に覚えのある場合は早期に医療機関で血液検査を受けて、糖尿病の治療に取り組む事が重要です。

糖尿病の予備軍であっても、安心してはいけません。予備軍だという事は確実に膵臓に負担がかかり、β細胞がやられていってしまっているので、予備軍の段階から早めに食事療法、運動療法に取り組んでいきましょう。

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