血糖値を下げる事が糖尿病治療の最大の目的です

血糖値下げる

糖尿病は体内でのインスリンの作用が不足して起こる病気です。

インスリンの作用が不足するとブドウ糖がうまく利用されずに体内にだぶついて血液中に溜まってしまう事になりますから、血糖値(血液中の糖のパーセンテージ)が高い状態になります。

食後数時間もすれば健康な人であればインスリンの作用によって血糖値が自然と決まった数値内に下がるのですが、インスリン作用の不足している糖尿病患者は、血糖値が下がらないのです。

この血糖値が下がらない状態高血糖と呼び、高血糖の状態が慢性的に続くような状態になると糖尿病が発症します。

糖尿病という名称もあり、糖尿病とは“尿の中に糖が溢れ出す病気”だと思われがちですが、正しくは高血糖こそが糖尿病の本質です。

確かに患者によっては尿の中に糖が溢れ出す患者もいますが、かなりの高血糖状態で糖尿病の症状が進行している状態になっているにも関わらず、尿の中に糖が漏れ出さない患者もたくさんいますから、厳密には高血糖の状態が慢性的に続く状態こそを糖尿病だと認識するべきなのです。

高血糖状態が何年も長く続くと、体内に取り込んだブドウ糖をうまくエネルギーに変換する働きが低下し、タンパク質や脂質の利用も悪くなってしまいます。

このような代謝異常の状態が数年も続いてしまうと、その影響が体中の細胞や血管にも悪影響を及ぼす事になり、最終的には体中の様々な臓器の働きを破壊してしまう合併症などの恐ろしい病気を引き起こすのです。

ですから、糖尿病の原因でもある血糖値を下げる血糖コントロールこそが糖尿病治療の大本命であり、糖尿病患者やその予備軍の人達は常に血糖値と向き合いながら治療を続けていく事になるのです。

糖尿病になってはいなくても、少しでも血糖値の高い人はすぐに糖尿病になってしまう可能性がありますから、今すぐ血糖値を下げるための取り組みをしていきましょう。

 

血糖値を下げる事が様々な症状の進行を食い止めます

日本人の糖尿病患者の95%を占めるインスリン非依存型糖尿病は、自覚症状がないままどんどん進行していきます。

自覚症状がないから糖尿病の発症時期も分かりませんし、本当に初期の頃は全く自覚症状がありませんから、血糖値を下げる事なんて頭にない以前に、健康診断をして血糖値を測定しない限りは、自分の血糖値が高いという事にすら気が付かないのです。

糖尿病の自覚症状が体に現れてくるのは糖尿病が発症してから5~10年経過した頃ですから、糖尿病の自覚症状が出た時には既に糖尿病がかなり悪化している可能性が非常に高いのです。

血糖値が高い状態が数年も続いているという事は、既に膵臓(すいぞう)のβ細胞のかなりの部分が破壊されている可能性もありますから、合併症を引き起こさないためにもいち早く血糖値を下げるための治療を開始して、糖尿病の進行を食い止めなければいけません。

合併症などの進行具合によっては、症状の進行を食い止めるのが既に難しいケースもありますが、糖尿病はそのまま放置しておくことで死の危険性もあるわけですから、血糖値を下げる以外に道はないのです。

糖尿病が発覚した以上、もはや高血糖状態をそのまま放置しておく事はできません。

最低でも1年に1回は健康診断や人間ドックなどを受診し、自分自身の血糖値を測定する機会を設けないと、糖尿病にかかった事を早期発見する事は非常に難しいのです。

 

血糖値を下げる3種類の治療法

糖尿病治療の目的は、高血糖を改善し、血糖値をできるだけ正常値に近い範囲内でコントロールする事にあります。

血糖値さえ正常値の範囲内にコントロールする事ができれば、合併症の危険性を減らす事ができます。

日本人に多いインスリン非依存型の糖尿病の場合、糖尿病とその合併症から身を守るためにはなんと言っても糖尿病の早期発見と早期治療が必要で、症状の軽い初期段階から血糖値を下げるための適切な治療を行う事ができれば、合併症を防ぎ、糖尿病を治す事ができるのです。

糖尿病患者が血糖値を下げる(コントロールする)ために行う治療には3種類の治療方法があります。

それは、食事療法運動療法薬物療法の3つです。

糖尿病治療において基本となるのは食事療法と運動療法で、日本人に多いインスリン非依存型糖尿病の場合はこの2つの治療を適切に行えば、糖尿病患者さんの4人に3人くらいの割合でほぼ完治したと言える状態まで糖尿病を治療する事が可能です。

まだ仮に糖尿病予備軍の段階であれば、食事療法と運動療法を適切に行えばかなりの高確率で健康な状態に戻るでしょう。

食事療法と運動療法のうち特に食事療法に関しては血糖値を下げる目的や、糖尿病治療全般の基礎となるものなので、食事療法抜きに糖尿病が治る事はあり得ません。

薬物療法は、飲み薬療法とインスリン療法の2つを総称したもので、食事療法と運動療法では血糖値を下げる事ができない場合に主に導入されます。

食事療法は膵臓の負担を減らし、血糖値の上昇を防ぎます

食事療法は糖尿病治療、血糖値を下げる治療の根幹となる治療です。

適切な食事療法を数日間行っただけでたちまち血糖値が下がるというケースも決して珍しくなく、のどの渇きが少なくなったり、疲れやすさがなくなるという症状が軽減する効果も期待できます。

インスリンの分泌量は食事量の影響を受け、ただでさえ血糖値が高めでインスリンの分泌量やインスリンの機能が低下している人が過食になると、更にインスリンの作用が低下して血糖値が一気に上昇してしまいます。

そういった状態が長く続くと膵臓には物凄い負担がかかるので、いずれ膵臓はインスリンを分泌する事をやめてしまうのです。

このような悪循環に陥らないようにするためには、不足しているインスリンの量に見合うように理想的な健康食を腹八分目に食事をとるようにする事で、膵臓にかかる負担を少なくし、膵臓の機能を再び健全に保つ事ができるようになるのです。

膵臓に負担がかからなければインスリンの分泌量に影響が出る事はありませんから、食後でも血糖値が極端に上がらなくてすむのです。

 

また、食事療法と言っても難しいものではなく、食事療法における患者のお約束事は2つだけです。

食事療法と聞くと、まるで病院食のような粗食を我慢しながら食べ続けるという苦行をイメージしがちですが、糖尿病でいう食事療法というのは決して病院食を食べるわけではなく、次の2つのお約束事を守るだけでいいのです。

・1日の摂取エネルギーを決められた範囲内に制限する
・栄養バランスのとれた食事を3食きっちり食べる

糖尿病患者は病院食のように食べてはいけないものが特に決められているわけではなく、上記の2つのルールさえ破らなければ何を食べたっていいのです。

食べようと思えば甘いケーキやお菓子だって食べても良いですし、ビールやワインなどのお酒を飲んでも構いません。

重要な事は、タンパク質、糖質、脂質などの栄養のバランスがとれた食事を、1日に決められた摂取エネルギーを超えないように注意しながら、朝・昼・晩と3食きっちりと食べる事なのです。

ブドウ痛の量を減らそうと考えて糖質の多いお米やパンなどの食材を食べなければ良いというわけでもなく、そうした食材を一切制限してバランスの悪い食事にしてしまうとかえって血糖値が上がってしまう事もありますから、糖質を制限するのではなくて1日に摂取する総エネルギー量を制限する事で血糖値を下げるという治療法をおこないます。

運動療法は血糖値を下げる重要なものです

運動療法と言っても、どのような運動をするべきなのかというのは、患者1人1人の年齢や体力によって様々です。

適度な運動をすると、筋肉ではエネルギーを発生させるためにどんどんブドウ糖を取り込みますから、結果的に血液中のブドウ糖がどんどん少なくなっていきます。

運動はブドウ糖を直接細胞に取り込ませる働きがある事も分かっていますから、運動をしたぶんだけブドウ糖が取り込まれていくので、インスリンを使用せずにブドウ糖を減らせるのです。

つまり、運動をしたぶんだけインスリンの節約ができるわけですし、ブドウ糖を細胞組織に直接取り込ませる事によって、血糖値を下げる事もできるのです。

運動によって体の余計な皮下脂肪などが減ってくると、インスリンの効き目が良くなって血糖値が下がりやすくなるというメリットもありますので、運動療法は糖尿病患者にとってはもはや良い事だらけなのです。

どういった運動をすれば良いのかという事に関しては年齢や体力など患者個々人によって全く異なってきますから、そこは医師と相談しながら進めていく事が良いでしょう。ただし、どんな人にとってみても運動の基本は歩く事ですから、まずは毎日の歩く距離を増やす事を意識するようにしていきましょう。

しかし、運動をしてエネルギーを消費したからと言って、運動後にジュースやビールなどを飲んでしまっては運動前以上に血糖値を上げる事になってしまいますから、それでは運動が全くの無駄になってしまいます。

糖尿病治療では、正しい食事療法を行っているという大前提の上に運動療法があると考えるようにしましょう。

経口糖尿病薬服用療法とインスリン療法

糖尿病の薬物療法には経口糖尿病薬服用療法とインスリン療法の2種類があり、この2つを総称して薬物療法と呼びます。

運動療法と食事療法で血糖値を下げる事ができなかった場合に、薬物療法が用いられます。

 

経口糖尿病薬服用療法

薬物療法のうちの1つが経口糖尿病薬服用療法という、いわゆる「飲み薬」を服用する治療法です。

糖尿病の飲み薬や内服薬の事を経口糖尿病薬と呼びます。

この飲み薬には何種類かあり、患者の糖尿病の型や症状によって使い分けたり併用したりします。

飲み薬を利用すれば食後の血糖値の上昇を抑える事ができたり、糖尿病の自覚症状が改善されるなどの効果がある事は確かですが、薬を飲み続ければいずれ糖尿病が完治するというものではなく、薬の効果が効いている間だけ血糖値をコントロールしているだけなのです。

ですから、医師から飲み薬を処方された場合はずっと飲み続けなければいけませんし、症状が改善したり血糖値が下がったからと言って医師に相談せずに勝手に薬を飲む事を辞めては絶対にいけません。

稀に毎日の飲み薬が効いて血糖コントロールができてくると、足先に痛みを感じたりする事がありますが、これは薬の副作用ではありませんから、怖がって薬を飲むのを勝手にやめてしまってはいけないのです。

糖尿病が発症した時から長い年月が経過してしまっている患者ほど、高血糖状態に体が慣れてしまっているので、薬で血糖値を下げてしまうと、その低くなった血糖状態に慣れれいないから、体がびっくりしてしまうのです。

インスリン療法

薬物療法のもう1つが糖尿病治療ではお馴染みの「インスリン療法」です。

糖尿病は体内でのインスリンの分泌が不足するために起こる病気なのですが、膵臓の機能が低下して自分自身では体内でインスリンを十分に分泌できなくなってしまった場合に、注射にとって体外からインスリンを補うという治療法がインスリン療法です。

2016年現在、インスリンは飲み薬で補う事はできず、注射によってしか補う事ができません。

基本的には毎食の30分程前に、腹部、太もも、おしりなどの部位に患者自らが皮下注射を行います。これは、人間は食事をすると約10~15分くらいで血糖値が上昇し始める事と、インスリン注射の効き目が注射後30分くらい経過してから現れる事と関係しています。

皮下注射で最もおすすめな場所はお腹で、お腹はインスリンの吸収が良く、吸収速度も毎回安定しているからです。

インスリン注射をすることで食事後の血糖値の上昇を抑える事が可能になりますが、インスリン療法を行っている患者さんでも食事療法と運動療法は継続して行わなければならず、インスリンを体外から補っていると言えどもこの両者がおざなりになってしまってはいけません。

なぜならば、インスリン注射をしているからと言って、膵臓はインスリンの分泌をやめてしまう訳ではありませんから、まだインスリンの分泌機能がある程度働いている患者さんは、血糖が下がってくると再び膵臓も調子を取り戻し、インスリンの分泌量を増やす事もあるからです。

インスリン療法と経口糖尿病薬服用療法、そして肝心の食事、運動療法を平行していく事で、次第に血糖コントロールがうまくいき、インスリン注射が必要でなくなりる患者さんもいますので、どんな状況であれ糖尿病患者が食事療法と運動療法は続けるべきなのです。

飲み薬で血糖値を下げる事のできない、より重症な糖尿病患者がインスリン注射を最後の手段として行うと思われがちですが、経口糖尿病薬服用療法よりもインスリン療法の方が確実で、医師によってはインスリン療法の方を優先的に選択する医師もいるくらいです。

ですから、インスリン療法は血糖値を下げるためのより積極的な治療法としても勧められる側面もありますので、インスリン注射イコール恐ろしい治療だと考える必要はありません。

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